ベーグルさんのぼやき日記

生活に役立つ情報などを独断と偏見で語ります^^

本能寺にて。

烈火の如く炎が燃え上がり

地獄の形相で焼かれた家臣たち

その中でひときわ刺す様な視線で能をまう。

時は戦国、安土桃山、乱世の終わりを告げるが如く

忠実に実行された本能寺の変

自らを第六天魔王と名乗り

この乱世にあらがわず、自身こそが正義、自身こそが神になるために

男は山のように屍を作った。

 

思えば彼の半生は戦う歴史だった。

大和の国

日出る国の神となるため生涯の全てを焼き払い

力を証明するために生きた。

戦こそ正義

戦こそ人生だった。

そんな人生は覚悟の連続だった。

覚悟して討ち取った。

覚悟して処刑した。

覚悟して友を殺めた。

だからこそ魔王なのだ。

男の悪夢はどんな時よりも激しく残酷で

異界の住人の如く駆け巡った自らの人生50年。

永遠に

永遠になるために。

自らの命を捧げた50年。

 

薄れゆく意識の中で

霞ゆく視界の中で

迫り来る業火の中で

男は光を見た。

 

けたたましい光と凄まじい威光を放ち

大きく目を開き牙を剥いている。

ドス黒い眼光で、青黒い体、そして猛々しくも美しい。

 

男にはすぐそのものの正体を理解した。

魔界の者だ。

悪魔が我を迎えにきた。

極楽浄土でも地獄でも天国でもない。

魔界の使用人。

 

能を舞い、自らの生涯が終わらんとしている今

時代の集大成である今

魔界から使者が現れた。

男は歓喜に震えた。

最後の力を振り絞り、息も絶え絶え能をまう

あわよくば、あわよくば

我こそ乱世のことわりに。

肉が焦げ 髪が燃え 焼け落ちる城の光の中。

燃えゆく体は焼け焦げて

さすれば人生50年。

 

時代に争う天下人

魔界の手先に導かれ

真の魔王の姿こそ

見据える眼球焼け焦げて

もはや命の終焉や

祝えや祝え家臣たち

真の魔王と参ろうぞ

時代に争う大うつけ

焼かれた御体は焼け焦げて

天下のうつけの大魔王

業火の所業も絶え絶えに

天上天下の大うつけ

我こそは

我こそが

第六天魔王織田信長なり

 

焼け落ちてゆく城に大の字に焼けた骨

幸せな夢の中に

朝日が差し込む大和の国。

いつも通り・・・いつも通りの朝がくる。

新しい時代を迎えんと

闇に送られた天下人。

息づいた森や山々が風に揺れる。

光の中に包まれる大和

偉大なる時代に幕を打ち

希望の朝日が覗き始めていた。

 

乱世は間も無く終わりを告げ

偉大なる神の時代が現れる。

人生50年。

乱世は

終わる。

光の元で終わる。

 

新しい時代は

新しい時代が作る。